AI による PLC 自動制御 |
現在、高含水率汚泥乾燥機 KENKI DRYER はプログラムにより機械動作の制御を行う装置PLCで運転していますが、完全な無人運転ではなく、乾燥後の含水率に合わせ乾燥機の軸の回転数を人手で調整する必要があります。乾燥物の乾燥後の含水率をなるべく一定にするため乾燥物の含水率及び乾燥機内温度の変動に合わせ、乾燥機本体軸の回転数を熟練技術者が微調整する必要が出て来ます。
その熟練者の経験と勘の技術を、乾燥物の乾燥前後の含水率及び乾燥機内4ケ所の温度変化に合わせたAIプログラムへ取り入れ、乾燥機本体軸の回転数を人手を要せずに無人で的確に自動的に調整、変更できるようにします。このAIとは推定データを基にモデルを構築し自動制御を行いますが、多くの情報データを蓄積し利用することによりその推定データは常に変化しAIによる自動制御はより正確性が増します。そのためAIでの自動制御はIoTとのシステム連携が非常に重要で、それにより稼働後の自動制御はIoTにより蓄積されたデータをAIが推定利用することにより更に正確な自動制御を行えるようになります。これにより無人自動運転が実現し熟練技術者を雇用する必要はなく人件費は発生しない上、設置現場での人との接触が避けられコロナ対策にもなります。
AIモデル構築の工程 |
AIモデル構築は、1)推定データの基盤整備、2)AIモデルの検証・開発、3)PLCへの組み込み、4)IoTシステムとの連携及び実証の4工程で行います。
1. 推定データの基盤整備 |
AIモデルの開発に当たって、最初に推定データの基盤の整備を行います。AIシステムの設計の段階において、乾燥物の含水率をコントロールするために必要なデータは何であるか推定する工程が最も重要です。そのため、先ずAIベンダーと共同で取得でき得るデータの中よりコントロールに有用な情報を推定し、その推定されたデータの取得基盤を整えます。現状では既に蓄積された過去の実験データにより乾燥機の温度センサーのログデータにより乾燥物の乾燥データがコントロールされていると推測されるため、最初にこのログデータを取得する基盤を整えます。但し、現状のログデータは人手で30分毎に記録したものであるため、このデータの活用ではAIでの自動制御においては精度を出すのは困難です。そのため、IoT遠隔操作とのシステム連携により秒単位未満でのログデータを取得し、そのデータ活用による自動制御がより確実に進歩するデータ基盤構築を行います。
2. AIモデルの検証・開発 |
この工程では、高含水率汚泥乾燥機乾燥機 KENKI DRYER の制御を自動化するAIモデルを複数パターン構築し検証します。具体的には、多変量時系列解析モデルSARIMAや、ディープラーニングを用いた時系列予測モデルTransformerの構築を想定しています。これらのモデル以外にも一旦構築したモデルの稼働データを取得しその内容を検証した上で様々な実現方法を模索しながら開発を行います。このAIモデル構築の内容が現場熟練技術者の経験と勘の内容であり、熟練技術者に成り代わり乾燥機の無人自動運転を行います。
3. PLCへの組み込み |
開発したAIモデルをプログラムにより機械動作の制御を行う装置PLCへの組み込みを行います。具体的には、ユーザー側の要望に合わせて対応できるように、制御盤に端末を設置しローカルで制御する方法と、AWS(アマゾンウェブサービス)等をクラウドのネット環境で実現する方法の2種類を想定しています。どちらの方法であっても開発したAIモデルの計算負荷により柔軟に対応ができます。PLCへ組み込んだ後は乾燥機に接続しAIモデルのみ単独での動作確認及び実証を行います。
4. IoTシステムとの連携及び検証 |
前工程 3)での無人自動運転動作確認後にIoTとのシステム連携を実証、検証を行います。
IoT遠隔操作の実証、検証後にAIとIoTのシステム連携を行い、乾燥機での動作確認及び実証を行います。このシステム連携が今後のAIモデルの確実性を左右するため非常に重要な工程であり乾燥機を実稼働させ動作確認の実証、検証を行います。
4ケ所の機内温度データを秒単位で蓄積 |
AIにより単位時間当たりの回転数を自動制御 |
AI | コンピューターで人間の知識と同じようにモデル化されたソフトウエアやそのシステム。人口知能とも呼ばれる。 |
IoT | 情報伝達機能をモノに組み込み、インターネットでつなぐことで、モノからデータ取得したりモノそのものを遠隔操作する仕組み。 |
PLC | シーケンス(順番)を制御するためのコントローラー。 |